今回は審判報告書の書き方について解説します。
審判報告書のフォーマット(エクセル)も本文中でダウンロードできます。
3級審判からは、公式戦で主審を務める場面も出てくると思います。
公式戦で主審を務めた後に記入しなければならないのが審判報告書です。
私自身、最初は書き方がよく分かりませんでしたが、色んな人に教えて頂いたおかげもあって、最近やっと書き慣れてきたかなと思っています。
人によって若干言うことが異なったりする場合もありますが、私自身が指導されたことを踏まえて解説していきます。
審判報告書を記入する審判員の皆様の参考になれば嬉しいです。
まず審判報告書とは
競技規則によると、
その試合の主審が競技運営で記録した公式文書である。
とあります。
簡単に言うと、その試合の得点や警告、退場などを記録し各協会に報告するものです。
私は恥ずかしながら3級審判に昇格するまで、その存在すら知りませんでした。
審判報告書フォーマット(Excel)
審判報告書のフォーマットはこのようになっています。
審判報告書の書き方(記入例)
基本的には、競技規則の最後の方に記載されている、審判報告書の記入上の注意を参考に記入すれば良いのですが、あまり親切には書かれていないので、順番に細かく説明していきます。
まずは半分から上の部分からいきます。
以下のように記入します。
大会名
ここには大会の正式名称を記入します。
第○○回とか○回戦とか、第○節とかを忘れがちですが、正式名称で記入します。
パンプレットがもらえると一番いいですが、JFAのKICK OFFで自分の割り当てを確認すると、正式名称が入っている場合もあります。
試合時間および結果
試合時間は一試合通しての時間を記入します。45分ハーフの90分ゲームなら「90分」、40分ハーフなら「80分」となります。
延長戦も同様です。
延長戦やPKがない場合は、その部分には横線をひきます。
対戦チームについては、Aがホーム側のチーム名、Bがアウェー側のチーム名を記入します。
本部を正面から見て右側はホーム側、左側がアウェー側です。
結果の部分には、最終の結果と前半と後半のそれぞれの得点を記入します。
試合中に得点が入った場合は、忘れずに得点を記録し、結果の記載に間違いがないように注意します。
日時、場所
日時については、キックオフした時間を記入します。
基本的には、開始予定時刻ぴったりにキックオフするようにしなければいけませんが、ベンチから出てくるのが遅かったり、円陣が長かったりと色々あります。キックオフ時間が1min程度遅くなった時には、そのまま開始予定時間で記入します。
何か理由があって、1min以上遅れてキックオフをした場合には、実際に試合開始した時刻を記入します。
その場合は、遅れた理由を「その他の報告事項」に記入する必要があります。
場所についても、正式名称で記入します。
主審、副審、第4の審判員
審判のところには、審判団の名前と所属を記入します。
審判団の名前についてはフルネームで記載します。
所属については、
1級審判:日本協会
2級審判:地域協会名(関東協会、北信越協会など)
※単純に関東、北信越などでも良いと思われます。
3級審判、4級審判:各県協会名(東京都協会、広島県協会など)
※単純に東京都、広島県などでも良いと思われます。
競技場、用具の状態
競技場が「天然芝」、「人工芝」、「土」のどれに該当するのかを記入します。
何も問題がなければ、「良好」と記入します。
良好ではない場合は、その状態を記入します。書くことが多いのは、「水たまりあり」、「凹凸あり」くらいでしょうか。
用具の状態についても記入します(ゴール、ネット、ラインなど)。
何も問題がなければ、「問題なし」と記入します。
競技規則には、不備があった場合競技開始前にどのような改善策を実施、その結果どのような状態になったので競技を開始したのかを詳細に記入する。
とありますが、そこまで書いている人は見たことがありません。
私は用具が試合前に改善されているならば、「問題なし」と書いてしまっています。
警告、退場
競技者にイエローカードやレッドカードを提示した場合には、その時間、チーム、番号、氏名、イエローカードを出した理由を記入する必要があります。
それぞれについての書き方を解説します。
警告
警告の部分は以下のように記入します。
イエローカードは試合によっては何枚も出さなければいけない試合もあります。
メモをせずに試合後に全てを思い出すことは難しいので、時間、チーム、番号、氏名、理由の4つは必ずその場でメモしておきましょう。
氏名については、試合後にメンバー表を確認すれば良いので、試合中にメモする必要はありません。
また、どうしてもメモし忘れることや、メモした字が汚くて後から読めなくなっている場合もあったりします。試合前に副審や四審の方に一緒にメモしておいてもらうようにお願いしておくと試合後に全員で確認できるので安心です。
理由については、( )内に「反ラ異繰遅距入去」のいずれかを記入し、具体的な内容を記入します。
「反ラ異繰遅距入去」の意味は以下の通りです。
反…反スポーツ的行為
ラ…ラフプレー
異…異議
繰…繰り返し反則する
遅…遅延行為
距…コーナーキック、フリーキック、スローインの時に規定の距離を守らない
入…主審の承認なくフィールドに入る
去…主審の承認なくフィールドから去る
※(注意)ラフプレーについては、競技規則では反スポーツ的行為に含まれますが、日本においては独立した警告の項目として採用されています。
具体的には、反スポーツ的行為の項目の中の、直接フリーキックとなる反則を無謀に行うことに該当します。
無謀にというところがまた難しいのですが、競技規則の中では、
無謀とは、相手競技者が危険にさらされていることを無視して、または、結果的に危険となるプレーを行うことであり、このようにプレーする競技者は警告されなければならない。
とあります。
直接フリーキックとなる反則が起きた時に、反則を受けた選手がケガをしてしまう、またはケガをしてしまう可能性があるような危険なものだった場合には、この「無謀に」の意味に当てはまると解釈し、ラフプレーに該当すると考えて良いと思います。
詳細を記入する際には、競技規則に載っている文言を使用することをお勧めします。
また、アディショナルタイムに警告があった場合は、時間のところには45+1や、90+2などという風に記入します。
詳しくは競技規則のP.245「試合イベント時間表記統一について」をご確認下さい。
退場
退場の部分は以下のように記入します。
退場に関しても、警告と同様に、時間、チーム、番号、氏名、レッドカードを出した理由を記入する必要があります。
退場の場合は、( )内に不正、乱暴、つば、阻止(手)、阻止(他)、暴言、警告2のいずれかを記入します。
不正…著しく不正な行為
乱暴…乱暴な行為
つば…相手競技者やその他の者につばを吐く
阻止(手)…意図的に手や腕で扱う反則により、得点、決定的な得点の機会を阻止する
阻止(他)…相手競技者に対して反則を犯し、得点、決定的な得点の機会を阻止する
暴言…暴言を吐く
警告2…試合中に2枚目の警告を受ける
該当する項目を( )内に記入し、詳細を記入します。
警告が2枚以外の一発退場に関しては、さらに、審判報告書(重要事項)に事細かにに起きた事象を記入し、報告する必要があります。
審判報告書(重要事項)については、別の記事で記入方法をまとめましたので参考にしてみてください。
警告と退場を出した際の、素早いメモに役立つのがこの商品です。
イエローカードとレッドカードの裏面に貼ることができます。
カードを出した後すぐそのまま記入できるので、スムーズに必要な記録を行うことができます。
鉛筆で記入すれば、消しゴムで消せますので、何試合でも使用することができます。
是非活用してみて下さい。
3級審判審判の方向けのあったら便利な審判グッズを以下で紹介しています。
こちらについても、確認してみて下さい。
その他報告事項
特に問題がなかった場合には「特になし」と記入します。
競技規則には、
チーム役員に懲戒罰(警告、退場)に相当する行為があった場合や、チームのユニフォーム等に問題があった場合などに記入すること。
とあります。
余程のことがない限りは「特になし」で問題ないと思います。
何か問題があって記入するかどうか迷う場合には、ベテラン審判員の方に相談するのが良いと思います。
内容によっては、審判報告書(重要事項)に記載する必要が出てくるかもしれません。
日付、住所、署名
日付は記載日を記入し、年は西暦で記入します。
報告先
試合を主催した協会の会長宛に報告する(都道府県、地域、日本サッカー協会殿)。
全てを記入し終えたら、Eメールもしくは郵送で提出先に送付します。
キックオフからアップロードする場合もあるみたいです(自分は未経験です)。
Eメールで送付する場合は、PDF形式で保存してメールに添付しましょう。
エクセルをPDF形式で保存する方法はこちらを参考にしてみてください。
競技規則の中には試合の行われた翌日までに郵送しなさいとあります。
試合が終わったらなるべく早く記入して提出しましょう。
最後に
今回は審判報告書の書き方について解説しました。
少しは参考になったでしょうか。
警告や退場がなければ短時間で記入が可能ですが、警告や退場が出た場合には、記入に時間がかかります。
理由もきちんと書かないといけませんので、試合会場には常に競技規則を持っていくことをお勧めします。
くれぐれも、報告書を書くのが面倒だから、警告や退場を出さないなんてことがないようにしましょう。笑
報告書の書き方については、まだまだ私も勉強中ですので、至らない点があったかもしれません。
今後、新たに指導された時などにはなるべくその内容を反映させていきたいと思います。
最後まで読んで下さってありがとうございました。これからも一緒に審判活動頑張りましょう。
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