今回はペナルティキック(PK)の進め方について書いていきます。
最近何度か試合中にPKの判定を下したり、研修会の議題にあがったりしていたので、自身の備忘録も兼ねて記事にしたいと思います。
ペナルティキック(PK)とは
競技規則には
競技者がペナルティエリアの中で、または、第12条および第13条に規定されるプレーの一環として競技のフィールド外に出て、直接フリーキックとなる反則を犯したときは、ペナルティキックが与えられる。ペナルティキックから直接得点することができる。
とあります。
ペナルティエリア内で、直接フリーキックとなる反則があった時にはペナルティキックとなります。
ちなみに、競技のフィールド外というのは、恐らく下の図の赤い部分にあたると思います。プレーの一環としてこの部分で反則があった場合でもPKが与えられるということでしょう。
ペナルティキック(PK)の進め方
競技規則には、
・ボールは、ペナルティマーク上で静止していなければならない。
・ペナルティキックを行う競技者は、明らかに特定されなければならない。
・ゴールキーパーは、ボールがけられるまで、キッカーに面して、両ゴールポストの間のゴールライン上にいなければならない。
・キッカーとゴールキーパー以外の競技者は、次のように位置しなければならない。
-ペナルティマークから少なくとも9.15m(10ヤード)以上離れる。
-ペナルティマークの後方
-競技のフィールドの中
-ペナルティエリアの外
競技者が競技規則どおりの位置についたことを確認したのち、主審は、ペナルティキックを行うための合図をする。
文章だけだと、中々イメージがしにくいですね。
競技規則の193ページの図を載せておきます。
ペナルティキック(PK)でよくある反則
ペナルティキック(PK)で起こりがちな反則としては以下の3つです。
ゴールキーパーの飛び出し
キッカーがボールをける前にゴールキーパーがゴールライン上から両足が離れて前に飛び出す反則です。
ゴールライン上に片足が残っていれば反則にはなりません。
キッカーとゴールキーパー以外の競技者の侵入
キッカーがボールをける前に、キッカーとゴールキーパー以外の競技者がペナルティエリアの中やペナルティアークの中に侵入する反則です。
キッカーの2度触り
キッカーがけったボールがゴールポストに当たって跳ね返ってきて、そのボールをキッカーがそのままけってしまう。
PKの場合も、他のフリーキックやコーナーキック同様、他の競技者がボールに触れる前にキッカーが再びボールに触れた場合は間接フリーキックとなります(手また腕の場合は直接フリーキックです)。
ペナルティキック(PK)での反則を未然に防止するために
我々審判員としては、不要な反則は未然に防止することが求められます。
反則が起きたから笛を吹くのではなく、反則がなるべく起きないような配慮、マネジメントが必要です。
選手達に気持ちよくプレーしてもらうためにも、大事なことだと思います。
ペナルティキックの場合は具体的に、どういう進め方がいいかというと、「の」の字で回っていくのが良いと教わりました。
下の図のように、「の」の字を書くように①~⑤の順番でそれぞれに対して、確認や注意を促していきます。
①キッカーの特定
ボールをセットした、もしくはセットしようとしているキッカーに対して、「あなたがキッカーですね?」と確認をします。
※特定されていないキッカーがけったPKとしては、サンフレッチェ広島に在籍していた槙野選手と佐藤寿人選手のPKが有名です。あの試合では、ゴールが認められていますが、現在では、間接フリーキック+特定されていないキッカーに警告となります。
②ゴールキーパーに注意を促す
ゴールキーパーの近くまで歩いていって、「キッカーがボールをけるまで、ゴールライン上から離れないように注意して下さい」と伝えます。
③副審のポジションを確認
試合中のペナルティキック(PK)の時は、副審はペナルティエリアとゴールラインの角に陣取ります。
副審の方に少し近づきポジションが間違っていないかを確認します。
④キッカーとゴールキーパー以外の競技者に注意を促す。
ペナルティアーク付近を添うように歩いて、キッカーとゴールキーパー以外の競技者に対して、「キッカーがボールをけるまで、中に入らないようにして下さい」と伝える。
⑤所定のポジションにつき、キックの合図を行う
ここまでしても、反則を犯す選手はいるかもしれませんが、何もしないよりか抑止効果はあると思います。
実際に反則をとった場合も、選手やベンチも納得してもらいやすいと思います。
ペナルティキック(PK)で注意したいこと
反則が起きた時の再開方法
反則が起きた時の再開方法は、ゴールインか、ノーゴールか、攻撃側の反則か、守備側の反則か、両方同時の反則かなど、色んな場合分けがあります。
2級昇格の試験などにもよく出題されています。
色んなケースに対応できるように、きちんと覚えておきましょう。
選手に囲まれそうになったら
PKの判定を下したものの、守備側の選手が納得せず異議を唱えてくるケースも考えられます。
複数人に囲まれるケースも想定されます(私は今のところ何人かに囲まれるまでは未経験です)。
囲まれそうになった時は、セーフティゾーンと呼ばれるポジションに向かうのが良いとされているそうです。
具体的には、以下の図の付近です。
確かに、Jリーグの試合などで、選手が言い寄っている時に主審はここに行っているイメージがありますね。
大体、このポジションでゴールラインを背にして、あっちに行けみたいなジェスチャーをしていますね。
あそこでは、「これ以上来ると警告を出すよ」みたいなことを言っているそうです。
試合のレベルが高くなってくると、こういったテクニックも必要になってくるようです。
2014年のW杯の開幕戦で、西村主審がPKの判定を下していますが、そのときもこのポジションに向かって、言い寄ってくる競技者に対応を行っています。
こんなに怖い形相で言い寄られたら嫌ですよね。
自分なら及び腰になりそうですけど、西村さんはさすがです。毅然とした立ち振る舞いが写真からも伝わってきますね。
試合時間の追加
ペナルティキックの判定を行った後、試合終了の時間がきたとしても、ペナルティキックをするための時間は追加しなければなりません。
競技規則の118ページにも記載があります。
キックされる前に試合を終了するのはNGですね。
中々そういった機会はないかもしれませんが、頭の片隅に入れておきましょう。
ペナルティキックとペナルティマークからのキック
余談ですが、ペナルティキックには、試合中のペナルティキックと、一般的にPK合戦と呼ばれるペナルティマークからのキックの2種類があります。
呼び方が異なっているのと、副審の立ち位置が違っていますので、トーナメント戦やカップ戦などで副審を担当される方は注意しましょう。
ペナルティマークからのキック(PK合戦)の時の立ち位置は以下の通りです。
最後に
今回はペナルティキック(PK)の進め方について、書いていきました。
自分自身、進め方や反則が起きた時の再開方法など、間違いがないようにしていきたいと思います。
また、自分が副審や4審の時も、主審の再開方法に間違いがないかは注意しておきたいところです。
最後まで読んで下さった方、ありがとうございました。
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