サッカーの試合は、基本的に年中開催されています。
夏のとても熱いときも例外ではありません。
近年は、夏場の気温が非常に高くなってきており、飲水タイムやクーリングブレイクが導入されるケースが多くなってきています。
夏場の試合では、試合前のマッチコーディネーションミーティングなどで、飲水タイムやクーリングブレイクを取るかどうかが必ずといっていいほど議題にあがりますので、それらについて知っておくことが求められています。
審判目線ではありますが、飲水タイムとクーリングブレイクについて説明します。
サッカーの審判をされる方を始め、サッカーに携わる方に参考にしてもらえると嬉しいです。
飲水タイムとは
まずは飲水タイムについてです。
一覧にまとめてみました。
飲水タイムとは、試合を一時中断して給水することです。
Jリーグの飲水タイムの動画がありましたので参考に載せておきます。
前半、後半のそれぞれの半分の時間を経過した頃にボールがアウトオブプレーになったタイミングで取ります。
両チームに有利、不利が生じないようなボールアウトオブプレーのときに取るのが理想です。
チャンスとなるフリーキックやコーナーキックのときには取らないように注意しましょう。
飲水タイムの目安は1minです。
選手は、ピッチの外に出ることはできません。
ライン上、ライン上付近で給水をします。
ベンチからボトルを受け取って飲む選手が多いですが、あらかじめラインの外に置かれているボトルを飲むのもOKです。
このとき、役員からの戦術的指示は良しとされていません。
あくまでも、給水をするための時間という認識です。
飲水タイムの間も時計は進めたままです。
飲水タイムにかかった時間をアディショナルタイムに追加します。
飲水タイムを取ったのに、アディショナルタイム0分はあり得ません。
少なくとも1分は必要です。
飲水タイムをとるWBGT値の基準は、カテゴリーによって異なります。
WBGT値が基準を満たしていない場合でも、飲水タイムを取りたいと言われる場合があります。
自分の場合は両チームの監督がOKであれば取るようにしています。
プレイヤーズファーストの精神で、臨機応変に対応しましょう。
クーリングブレイクとは
次にクーリングブレイクについてです。
こちらも一覧にまとめてみました。
クーリングブレイクを取るタイミングは、飲水タイムのときと同じです。
クーリングブレイクの時間は3minです。
選手がベンチや日陰に入ってから3min取ることになっています。
審判員も日陰や本部で休息します。
あまり良い動画が見つからなかったのですが、インターハイでクーリングブレイクをとったときの動画です。
選手や審判がフィールドから出て行って、カメラに写らなくなっています。
日陰で休息している様子が伝わればと思います。
クーリングブレイク中は、給水の他、氷で体を冷やしたりすることが勧められています。
アディショナルタイムについては、4minを追加するケースが多いと思います。
選手がベンチや日陰に入る時間、3min後に選手が出てポジションにつく時間の考慮も必要になるからです。
クーリングブレイクで使った3min+選手の移動時間1minくらいは必要になります。
クーリングブレイクを取る基準(WBGT値)もカテゴリーで異なっています。
クーリングブレイクについても、基準を満たしていない場合でも取りたいと言われる場合があります。
その場合も、両チームの監督がOKであれば取るようにしています。
この場合もプレイヤーズファーストの精神で対応しましょう。
WBGT値とは
飲水タイムやクーリングブレイクを取るときの基準になるのが、WBGT値です。
WBGT値で何℃かで、判断されます。
WBGT値というのは、暑さ指数といって、人間の熱バランスに影響の大きい、気温と湿度と輻射熱の3つを取り入れた指標です。
詳しくは、下記のサイトを見てください。
一般的な指標の気温ではないので、注意してください。
また、競技規則の熱中症対策ガイドライン(19/20版のp.253)に、屋根のない人工芝においては、飲水タイムやクーリングブレイクをとるWBGT値の基準を-3℃すると記載があります。
近年は、人工芝のピッチでの試合も増えていると思いますので、ご注意ください。
WBGT値の測定器
WBGT値を測定する温度計は以下のものがよく使用されています。
試合の運営の方が所有しているといいですが、ない場合もあります。
審判をされる方、サッカー関係者の方は念のため持っておくと安心だと思います。
WBGT値の計測方法
WBGTの計測方法も競技規則に記載があります。
計測時の参考にしてください。
①必ずピッチ上で、WBGT計の黒球が日陰にならないように計測する。計測時のWBGT計の高さは、プレーする選手の年齢の平均身長の2/3とする。
②計測する時間はできる限り試合開始の直前、かつロッカーアウトするまでに両チームに対応方法をでんたつできるタイミングとする。
③試合中もピッチに近い場所で計測し続け、数値を把握する。
④ハーフタイム時(できる限り後半開始の直前)の数値により後半の対応方法を決定し、両チームに伝達する。
競技規則より
飲水タイムとクーリングブレイクのまとめ
最後にまとめです。
競技規則の熱中症対策ガイドラインの内容をベースに書いていきました。
各年代によって、飲水タイムとクーリングブレイクを行うWBGT値の基準が異なっているので注意が必要です。
色々と例外はあるかと思いますが、飲水タイムやクーリングブレイクの適用基準やその方法について理解を深めてもらえれば嬉しいです。
年々夏場の気温が上がっているような感じもあります。
選手が熱中症にならないように、試合運営を進めていけるようにしていきましょう。
また、自分が審判の時には、あっては欲しくないですが、仮に選手が熱中症になったときにはすぐ気付いてあげられるような気配り目配りのできる審判でありたいと思います。
自分自身も熱中症にならないように注意していきます。
以上最後まで読んでくださってありがとうございました。
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